非破壊検査のレベル1・2・3の違い|責任範囲と任せられる作業
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
非破壊検査のレベル1・2・3の違い|責任範囲と任せられる作業
非破壊検査のレベル1・2・3は、実施できる作業だけでなく、方法や技法の選択、結果の解釈に対して負う責任の範囲が異なります。レベルは経験年数だけを示す序列ではなく、方法ごとの力量と責任を表す認証上の区分です。資格証明書を読むときは、レベルと認証対象の方法をセットで確認します。
ここでは、JIS Z 2305に基づく日本非破壊検査協会の認証制度における各レベルの範囲を整理します。根拠は、一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701(確認日2026-09-06)です。
レベル1・2・3の責任範囲
レベル1・2・3は、NDTを実施する力量と、その結果に関する役割を段階的に示します。レベルが上がるほど単に作業が増えるのではなく、指示、選択、評価、監督の範囲が広がります。

| レベル | 主な責任範囲 |
|---|---|
| レベル1 | 指示書に従った実施、記録・分類、結果の報告 |
| レベル2 | 技法の選択、結果の解釈・評価、下位レベルの監督・指導 |
| レベル3 | 規格・手順書の解釈、設備・職員への責任、全レベルの監督・指導 |
表は、一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第5項(確認日2026-09-06)を要約したものです。制度の方法一覧は、JIS Z 2305の制度全体で確認できます。
レベル1が指示書に従って行う作業
レベル1は、レベル2またはレベル3技術者の監督の下で、指示書に従ってNDTを実施する力量として位置づけられます。雇用主は資格証明書に明記された力量の範囲で、装置の調整、NDTの実施、基準に従った結果の記録・分類、結果の報告を許可できます。
ここでいう許可の範囲は、認証対象の方法と資格証明書に記載された力量に結び付きます。レベル1が担当する作業を理解するときは、NDT方法8種と限定方法6種で方法名を確認し、指示書と監督の前提も一緒に確認します。
レベル2が技法を選び結果を評価する作業
レベル2は、NDT手順書に従って実施するほか、技法の選択、適用制限の明確化、結果の解釈・評価を担う力量として定められています。コード、規格、仕様書、手順書をNDT指示書へ書き換えることや、装置の調整・検証も役割に含まれます。
レベル2は、レベル2以下の作業を実施・監督し、技術者を指導できます。認証上の範囲は、一般社団法人 日本非破壊検査協会の制度案内Rev.20260701(確認日2026-09-06)に基づくもので、個別の職場での役職名を定めるものではありません。
レベル3が規格・手順書・職員に負う責任
レベル3は、認証対象のNDT作業を実施・指示する力量に加え、規格、コード、仕様書により結果を評価・解釈する力量を求められます。材料、製造、プロセス、製品技術の知識と、他のNDT方法に関する一般的知識も範囲に含まれます。
許可されうる事項には、試験設備、試験センター、その職員についての全責任、手順書の作成・精査・妥当性の実証、全レベルの作業の監督・指導があります。レベル3の範囲は、同制度案内Rev.20260701(確認日2026-09-06)の第5項で確認できます。
レベル1が責任を負わない事項
レベル1の役割を理解するには、許可される実施作業だけでなく、責任を負わない事項も確認します。方法や技法の選択と、結果の解釈を担当範囲に含めないことが、レベル2・3との違いです。

| 項目 | レベル1の扱い |
|---|---|
| NDT方法・技法の選択 | 責任を負わない |
| NDT結果の解釈 | 責任を負わない |
| 指示書に基づく実施・記録 | 力量の範囲で行う |
表は、一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第5.1項(確認日2026-09-06)によります。
方法・技法の選択と結果の解釈を分ける
レベル1は、NDT方法や技法の選択、NDT結果の解釈について責任を負ってはならないとされています。このため、実施した事実の記録・分類と、その結果をどのように評価するかは、認証上は同じ責任範囲ではありません。
方法や技法を選ぶ判断は、レベル2またはレベル3の範囲です。レベル1の実施能力を小さく見るためではなく、手順と判断の責任を明確にするための区分として、制度案内Rev.20260701(確認日2026-09-06)は整理しています。
レベル2の実務上の役割
レベル2は、手順書に沿った実施と、技法の選択、結果の評価をつなぐ役割です。レベル1の作業を受け持つだけではなく、指示書を具体的なNDT作業へ落とし込む範囲が含まれます。

| レベル2に含まれる事項 | 内容 |
|---|---|
| 指示書への書き換え | 規格・仕様書・手順書をNDT指示書へ反映 |
| 結果の扱い | 解釈・評価・報告 |
| 人への関わり | レベル2以下の実施・監督・指導 |
根拠は、一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第5.2項(確認日2026-09-06)です。
指示書への書き換え、解釈、評価、指導
レベル2は、技法を選択し、適用上の制限を明確にしたうえで、規格・コード・仕様書・手順書をNDT指示書へ書き換える力量を持ちます。装置の調整と検証、NDTの実施と監督、結果の解釈・評価、報告も同じ範囲に示されています。
また、レベル2以下の技術者を指導することも役割に含まれます。どの範囲まで実務を任せるかは雇用主の許可に関わるため、資格証明書のレベルだけで個別の職務や権限を断定しないことが必要です。
レベル3の役割
レベル3は、方法ごとの高度な知識に加えて、手順書や規格の解釈、試験体制に関する広い責任を担う認証上の区分です。レベル2の役割を単純に拡大したものではなく、設備・職員・手順の妥当性を確認する観点が加わります。

| レベル3が扱う観点 | 内容 |
|---|---|
| 文書 | NDT指示書・手順書の作成、精査、妥当性の実証 |
| 技術 | 規格・コード・仕様書の解釈と方法の指定 |
| 体制 | 試験設備、試験センター、職員への責任 |
表は、一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第5.3項(確認日2026-09-06)を整理したものです。
手順書の妥当性と試験設備・職員への責任
レベル3は、NDT指示書・手順書を作成し、編集上・技術上の精査と妥当性の実証を行うことができます。使用する特定のNDT方法、手順書、指示書を指定し、規格・コード・仕様書を解釈することも認証上の範囲です。
試験設備、試験センター、その職員についての全責任も、レベル3に許可されうる事項として示されています。ただし、これは制度案内が示す力量・責任の範囲であり、各組織の担当配置を一律に決める説明ではありません。認証対象の8方法にVTを加えない考え方は、VTと資格制度の関係で確認できます。
監督は常に隣にいることを意味するか
制度における監督は、対象者のすぐ横に常時いることだけを意味しません。他のNDT技術者が行う適用、準備、実施、結果について、指示・管理し、責任を持つこととして定義されています。

| 監督に含まれる要素 | 制度上の説明 |
|---|---|
| 指示 | NDTの適用・準備・実施・結果への指示 |
| 管理 | 技術者が行う作業を管理 |
| 責任 | 指示・管理した行為について責任を持つ |
この監督の定義は、一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第5項注記(確認日2026-09-06)によります。
指示・管理・責任としての監督
監督は、レベル1の作業に対して、レベル2またはレベル3が指示・管理・責任を持つ関係を指します。常に同じ場所にいることだけを条件とする定義ではないため、物理的な距離だけで監督の有無を判断する説明は正確ではありません。
一方で、具体的な監督の方法や組織内の役割分担は、認証制度の定義とは別に確認が必要です。制度案内Rev.20260701(確認日2026-09-06)が示す監督の意味と、個別の業務条件を混同しないようにします。
雇用主が担う作業許可と視力確認
資格証明書は技術者の適格性を認証するもので、NDT作業の許可そのものではありません。雇用主はNDT作業の許可に関する全事柄に責任を持ち、被雇用者が視力の要求事項に毎年適合していることを保証する役割があります。
| 確認する事項 | 主な責任の位置づけ |
|---|---|
| 資格証明書 | 方法・レベルについての適格性の認証 |
| 作業許可 | 雇用主が責任を持つ事項 |
| 視力の適合 | 雇用主が毎年保証する事項 |
表は、一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第10.4.2項注記(確認日2026-09-06)によります。資格に関する関連記事は、資格カテゴリから確認できます。
資格証明書と雇用主の責任を分ける
雇用主は、資格証明書に記載された力量の範囲でNDT作業を許可します。資格証明書を持つだけで、全てのNDT作業が自動的に許可されるわけではなく、認証の対象方法・レベルと実際の作業条件の確認が必要です。
視力の要求事項についても、雇用主は被雇用者が毎年適合していることを保証します。制度案内Rev.20260701(確認日2026-09-06)の役割分担を前提に、情報の収録基準と運営方針も確認しながら、組織内で必要な確認事項を整理してください。
比較表の内容や引用に関する情報を補足したい場合は、次の窓口を利用できます。
よくある質問
レベル別の責任範囲と、監督・作業許可の関係についての質問をまとめます。
レベル1だけで結果を判定できますか
レベル1は、NDT方法・技法の選択とNDT結果の解釈について責任を負わない区分です。一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第5.1項(確認日2026-09-06)では、指示書に従う実施、記録・分類、報告の力量が示されています。
結果の解釈・評価は、レベル2またはレベル3の責任範囲です。実際の作業では、資格証明書に記載された力量と雇用主による作業許可を分けて確認します。
レベル2の監督者は現場に常時いる必要がありますか
制度案内の監督は、他のNDT技術者が行う適用、準備、実施、結果を指示・管理し、責任を持つことです。一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第5項注記(確認日2026-09-06)は、該当者を常時側に置くことではないと説明しています。
ただし、個別の業務で求められる配置や連絡方法までを同制度が一律に定めるものではありません。具体的な業務条件は、関係する手順書や組織内のルールを確認してください。
資格証明書があれば作業を許可されますか
資格証明書の発行は技術者の認証であり、NDT作業の許可を与えるものではありません。一般社団法人 日本非破壊検査協会「JIS Z 2305:2013 非破壊試験技術者の認証制度のご案内」Rev.20260701の第10.4.2項注記(確認日2026-09-06)は、作業許可に関する全事柄について雇用主が責任を持つと示しています。
資格証明書の対象方法・レベルと、作業の条件を確認したうえで、雇用主が許可を判断します。認証制度上の力量と個別の業務上の許可を同じものとして扱わないことが重要です。
まとめ
非破壊検査のレベル1・2・3は、実施、選択、解釈・評価、手順・体制への責任を分ける認証上の区分です。レベル1は指示書に従う実施を担い、レベル2は技法の選択と結果の評価、レベル3は規格・手順書・設備・職員への広い責任を担います。
監督は常に隣にいることだけを指すのではなく、指示・管理・責任を持つことです。資格証明書による認証と、雇用主が担う作業許可・毎年の視力確認を分けて理解すると、各レベルの範囲を正確に整理できます。
出典
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。非破壊検査の資格制度・法定資格・業界統計について、認証機関・業界団体・所管省庁等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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